NPO法人とうほく整形外科は、医師の専門的職業能力の開発・向上と就労の支援をすることにより、運動器医療の充実・発展・啓発と地域医療の質の向上ならびに人材確保に寄与し、併せて国際交流・協力・支援を通じて地域の国際化に貢献いたします。
1 趣旨
近年、日本は未曾有の高齢社会となり、骨・関節・脊椎といった運動器の加齢変性に起因する疾病が深刻な問題となっている。一方では、スポーツ活動の隆盛化で、青少年や壮年に発生する運動器の損傷・障害が年々増加している。こうした状況にあって、地域を問わず運動器疾患に対する関心と専門的医療への需要が著しく高まっている。
そもそも地域における疾病の予防と治療あるいは健康の維持と増進には、専門的な知識と技能に長けた専門医が欠かせない。殊に外科系専門医には、日常の診療や研究、医学・医療情報の収集を通して職業能力を向上させ、同時にそれらを同僚や後進に伝えることが生涯を通じて必要とされる。一方、専門医を目指す専修医には、多種多様の研修課題に対応できる複数の病院・施設を巡り、秀でた指導医のもとで研修することが望ましい。すなわち、地域医療の充実は、専門医自身の一層の能力向上と優れた専門医の育成によって初めて達成される。
特定非営利活動法人とうほく整形外科は、東北地方ならびにその近隣の地域において、運動器医療に携わる医師の専門的能力の向上を支援すると共に、その実践に必要な就労機関を斡旋すること、ならびに専修医の能力や学習内容を調査・分析し、研修病院・施設を適切に調整することにより、人材の育成と確保ひいては地域医療の充実と発展に寄与する。さらに、本法人は運動器疾患の専門的知識と医療情報を講演会、セミナー等を通じて、医師のみならずコメディカル、そして地域住民や学童・生徒に教育・啓発する事業を行う。本法人は、小児から高齢者まで種々の運動器疾患に関して住民を対象とした調査・検診の事業を行い、積極的に地域住民の福祉の向上に貢献する。本法人は他国の医師の地域への訪問や地域での研修と、専門医の海外視察・指導、専修医の他国での研修を含めた国際交流を促進する。
2 申請に至るまでの経過
これまで、平成11年に発足した任意団体の東北大学整形外科関連病院協議会が当地域における専門医の能力向上、専修医の育成、あるいは国際交流・協力のための支援事業を行ってきた。特定非営利活動法人とうほく整形外科は、同協議会の枠を拡大し、運動器医療の充実、発展、啓発に積極的に貢献しようとするものである。
平成17年7月30日、特定非営利法人とうほく整形外科の設立総会が同協議会の会員によって開催され、法人の設立が必要であるとの意見の一致が得られた。引き続き、法人の定款が審議され承認された。
平成17年10月3日
特定非営利活動法人 とうほく整形外科
設立代表者 国分正一
(東北大学名誉教授)
『整形外科の未来は明るい』
北 純・前理事長の後を受け、NPOとうほく整形外科・理事長を拝命しました村上栄一です。
整形外科に限らず時代とともに主流となる疾患は様々に変遷してきました。感染症の時代、外傷の時代、がんの時代などです。これから到来する超高齢化社会を見据えた場合、骨粗鬆症や運動器疾患が自ずと増加し、これらへの対応を求められる整形外科の役割はどの病院でも大きくなるばかりです。
これまで前理事長の元で力を入れてきた、働き方改革への対応、ハラスメントの排除、女性医師の労働環境の改善は未だ道半ばであり、今後も力を入れていかなければならない課題と考えております。しかし、これらの改善の前提となるのは何といっても整形外科スタッフの数です。そして、病院長そして整形外科責任者が望むのはスタッフの増員です。
各病院の整形外科増員は東北大学整形外科の入局者の増加に頼るほかありません。これまで最大の入局者数は相澤教授が入局された1989年の21名だったようです。本NPOは若手医師の育成という使命の他に、正会員、病院会員の期待を実現するためにも、大学とともに新入局者の増員に向けて、全力で資金とアイデアとを提供していく必要があると考えております。
整形外科は魅力的な診療科です。若年者に多いスポーツ障害・傷害から高齢者の骨粗鬆症関連疾患の治療まで整形外科の需要は今後、益々増えてゆきます。そして診断から治療、そしてリハビリまでを一貫して行うことのできるのも当科の大きな魅力です。選ぶなら整形外科です‼
地元だけでなく、関東、関西へ行っている東北出身者で仙台の地で働きたいと考えている潜在的入局希望者が相当いるものと推測されます。もはや伝統のある大学であっても、構えているだけで入局者を確保できる時代ではありません。学生や研修医は入局することで自分のキャリアが確実に開けるのかを冷静に判断しています。
千葉大学や名古屋市立大学などが入局者が多いことで話題に上りますが、整形外科の魅力、医局の魅力の発信に成功しているからだなのだと思います。東北大学医局もこれらの成功例に学びながら、卒業生・研修医が入局を希望するような明るい展望を示していって頂きたいと思います。
“目指せ!『新入局者20名』”を合言葉に、全力で医局を応援していきたいと決意しております。今後とも、NPOとうほく整形外科へのご支援を宜しくお願い申し上げます。
NPO法人とうほく整形外科
理事長 村上 栄一
(JCHO仙台病院 名誉院長)
〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1番1号